手を合わせ、3回唱えた。



目を開ける。



私のいつも通りの部屋だ。



ありきたりのない、人の匂いがする空間。



やっぱり嘘?



「何のようだ、人間」



眼の前を見ると、銀髪のイケメン黒服が立ってた。




「え?」




「呼び出しといて、その卵白な反応は何だ」





ドスンのベッドの縁に座り、髪を何故回すその仕草はまるで王子様んだろうけど後ろのクルクルと回る小型の鎌が、人外だということを証明してる。




もう端的に言っちゃおう。





「私の彼氏を殺してほしいの」





光る金色の眼光は、とても鋭い。




まるで射抜かれているみたいで、ゾッとするけれど。




「本当にその願い、いいのだな?」





「ええ、いいわ。だって、彼氏を殺したら、あいつが悲しむじゃない」




逆の三日月の形相に口元が歪んでいるのが心地よくて、居心地がいいとはこの事が。





「人を殺すのには、それなりに代償が必要だ」




「代償?」




「お前のその彼氏を殺す、命を奪う代償を貰う」





「それって自分で決められるの?」




「馬鹿者。天界が決めるに決まってる」




「なら……、そうしてほしい。私、アイツのこと許せないもの」




「そうか。契約破棄は許されぬが、良いか?」




「ええ、構わないわ」




「それなら、対処してやろう」




死神は薄い漆黒の闇に包まれて、消えてゆく。




その代償の意味を知らずに。