「急にお前の姿が見えなくなったから、変に思ったんだ。そしたら、あの木村ってやつが言ったんだ。お前が、勝手に帰ったって」
本当に、吉野くんにそう伝えてたんだ。
「けどお前は、そんなことしないだろ。スマホに電話をかけたけど、全然出ない。こんなの、どう考えてもおかしいだろ」
草野さんたちは、私を閉じ込めたことがバレないように手を打たのに、それでもおかしいってわかってくれた。
それが、すごく嬉しかった。
「それで、お前のこと探してたら、俊介と会って、草野と揉めてたって聞いた」
「大森くんが見た時は、そこまで揉めてたわけじゃなかったんだけど」
「あのな。その時は何もなくても、後で大事になることだってあるんだ。現にお前は、こうして閉じ込められただろ」
ぐうの音も出なかった。
私はそんなの考えもしなかったけど、もしかすると吉野くんの周りでは、今までにもこういうことが起きてたのかも。
「いよいよ何かあるって思って、日向の迎えを俊介に頼んで、探してたんだ」
「えっ、日向ちゃん? そうだ、お迎え!」
吉野くんはサラッと言ったけど、どうして気づかなかったんだろう。
保育園のお迎えの時間、もうとっくに過ぎてる。
「ご、ごめん、 私のせいでそんなことになって!」
吉野くんが、どれだけ日向ちゃんを第一に思ってるかは、よく知ってる。
なのに、すごい迷惑をかけてしまった。
「そんなのどうでもいい。いや、よくはないけど、今はそれよりも、お前の方が大事だ」
「吉野くん……」
どうしてだろう。
迷惑だってわかってるのに、、そう言われたのが嬉しくて、また涙が溢れてくる。
「それに、迎えは俊介に頼んだって言ったろ。あいつなら大丈夫だ。それとだな……」
吉野くんはそこで一度言葉を切ると、真剣な顔で私を見る。
「ごめんって言ったの、取り消せ。お前が謝ることなんて、なに一つない。悪いのは、お前を閉じ込めたやつらだろ」
そう言った吉野くんの手は震えてた。
怒ってる。それも、ものすごくだ。
「草野に木村。他にもいるか? 全員俺がなんとかしてやる」
「ちょっ、ちょっと待って!」
草野さんと木村さん以外は、私も扉ごしに声を聞いただけで、誰かはわからない。
けど、問題はそこじゃない。
「吉野くんが出るのは、ちょっとだけ待って。こういうのって、男子が絡んだらよけい大変になるかもしれないから」
それで反省したらいいけど、下手をしたらよけいに怒らせかねない。
今の私は、そんな草野さんたちと戦う覚悟ができていなかった。
「けどよ…………」
吉野くんは不満そうにしていたけど、やがて仕方ないって感じで頷いた。
「わかったよ。坂部がそう言うなら、今は何もしないでおく。」
ただし、それからすぐにつけ加える。
「けどな、今回きりだ。次にこんなことされたら、例え止めても、俺が草野たちを黙らせる。だから、何かあったらすぐに俺に話せ。それができないなら、今すぐどうにかする!」
言ってることは強引だけど、それだけ私のことを心配してるんだってわかる。
こんな時だってのに、それが嬉しい。心配してくれるのが、守ろうとしてくれるのが、とても嬉しかった。
「うん。ありがとう」
それと、もうひとつ。
まだ、とても大事なことを言っていないことに気づいた。
「それと、その……助けてくれて、ありがとう」
「なんだよ、今さら。お前がこんな目にあったのは、俺のせいだろ」
「違うよ! 吉野くんが謝るようなことなんて、なに一つないから!」
「お前…………」
さっき吉野くんに言われた言葉を、そっくりそのまま返す。
吉野くんに、自分のせいなんて思ってほしくない。
だから、精一杯伝える。
「吉野くんが来てくれて、助けてくれて、すごくすごく嬉しかった。本当に、ありがとう」
本当に、吉野くんにそう伝えてたんだ。
「けどお前は、そんなことしないだろ。スマホに電話をかけたけど、全然出ない。こんなの、どう考えてもおかしいだろ」
草野さんたちは、私を閉じ込めたことがバレないように手を打たのに、それでもおかしいってわかってくれた。
それが、すごく嬉しかった。
「それで、お前のこと探してたら、俊介と会って、草野と揉めてたって聞いた」
「大森くんが見た時は、そこまで揉めてたわけじゃなかったんだけど」
「あのな。その時は何もなくても、後で大事になることだってあるんだ。現にお前は、こうして閉じ込められただろ」
ぐうの音も出なかった。
私はそんなの考えもしなかったけど、もしかすると吉野くんの周りでは、今までにもこういうことが起きてたのかも。
「いよいよ何かあるって思って、日向の迎えを俊介に頼んで、探してたんだ」
「えっ、日向ちゃん? そうだ、お迎え!」
吉野くんはサラッと言ったけど、どうして気づかなかったんだろう。
保育園のお迎えの時間、もうとっくに過ぎてる。
「ご、ごめん、 私のせいでそんなことになって!」
吉野くんが、どれだけ日向ちゃんを第一に思ってるかは、よく知ってる。
なのに、すごい迷惑をかけてしまった。
「そんなのどうでもいい。いや、よくはないけど、今はそれよりも、お前の方が大事だ」
「吉野くん……」
どうしてだろう。
迷惑だってわかってるのに、、そう言われたのが嬉しくて、また涙が溢れてくる。
「それに、迎えは俊介に頼んだって言ったろ。あいつなら大丈夫だ。それとだな……」
吉野くんはそこで一度言葉を切ると、真剣な顔で私を見る。
「ごめんって言ったの、取り消せ。お前が謝ることなんて、なに一つない。悪いのは、お前を閉じ込めたやつらだろ」
そう言った吉野くんの手は震えてた。
怒ってる。それも、ものすごくだ。
「草野に木村。他にもいるか? 全員俺がなんとかしてやる」
「ちょっ、ちょっと待って!」
草野さんと木村さん以外は、私も扉ごしに声を聞いただけで、誰かはわからない。
けど、問題はそこじゃない。
「吉野くんが出るのは、ちょっとだけ待って。こういうのって、男子が絡んだらよけい大変になるかもしれないから」
それで反省したらいいけど、下手をしたらよけいに怒らせかねない。
今の私は、そんな草野さんたちと戦う覚悟ができていなかった。
「けどよ…………」
吉野くんは不満そうにしていたけど、やがて仕方ないって感じで頷いた。
「わかったよ。坂部がそう言うなら、今は何もしないでおく。」
ただし、それからすぐにつけ加える。
「けどな、今回きりだ。次にこんなことされたら、例え止めても、俺が草野たちを黙らせる。だから、何かあったらすぐに俺に話せ。それができないなら、今すぐどうにかする!」
言ってることは強引だけど、それだけ私のことを心配してるんだってわかる。
こんな時だってのに、それが嬉しい。心配してくれるのが、守ろうとしてくれるのが、とても嬉しかった。
「うん。ありがとう」
それと、もうひとつ。
まだ、とても大事なことを言っていないことに気づいた。
「それと、その……助けてくれて、ありがとう」
「なんだよ、今さら。お前がこんな目にあったのは、俺のせいだろ」
「違うよ! 吉野くんが謝るようなことなんて、なに一つないから!」
「お前…………」
さっき吉野くんに言われた言葉を、そっくりそのまま返す。
吉野くんに、自分のせいなんて思ってほしくない。
だから、精一杯伝える。
「吉野くんが来てくれて、助けてくれて、すごくすごく嬉しかった。本当に、ありがとう」


