現在は耀が紹介してくれた地元の高齢者用のマンションに住んでいる。
 ここから近いため生活圏は変えずに済んだ。マンションで新しい友人も出来たらしく毎日楽しそうだ。

「庭も問題なさそうだな」

 玄関のドアが開き、最終確認で外を見まわっていた耀が戻ってきた。

 庭にあった二本のブルーベリーの木は既に宇賀地家本家の敷地に移植されている。
 宇賀地家お抱えの造園業者がしっかり管理してくれるそうだ。

 これからは結乃がジャムを作って祖母に食べさせたいと話したら、耀も興味を持っていたのでふたりで収穫からジャム作りまでおこなうのもいいなと思っている。

 たくさん出来たら耀の祖父や義父母にも食べてもらいたい。

「三か月前なのに、随分前のような気もするな」

「確かにそうですね。いろいろありましたから」

 遺言を改ざんした伯母と結託した弁護士を当然のように耀は告発した。
 結乃は正直気が進まなかったのだが罪は罪として公にすべきだと押し切られた。

 その上で嵯峨家とは和解が成立している。条件は結乃が受け取るべきだった金額の支払いと、伯母と伯父を嵯峨家の運営から一切手を引かせること。事実上の引退だ。