それは彼の17歳の誕生日から毎年、ミルドレッドが贈り続けた刺繍入りのハンカチーフが、8枚。
彼はそれを使用せずに、丁寧に畳んで。
この美しい箱に仕舞っていた。
そして、時々取り出しては、年齢ごとに並べて。
ミルドレッドの刺繍の技術が上がっていくのを、楽しんでいたのだろうか。
13のわたしが刺した図案の簡単なこと。
14の年は前年よりは少しはましになっているけれど、それでも単純な。
15の年には、会いに来てくれた彼を意識するようになって、初めてアダムスの家紋に挑戦した。
16からは図案探しから始まって、下書き、作成と1年かけるようになった。
17は、18は、19では……年々図案と色彩は複雑になり、全体のバランスも考えた。
そして今年の刺繍は四隅だけではなく、全面に施した。
彼と過ごした20歳までの8年間の全てを、鮮やかに思い出す。
受け取って貰った時の情景や。
スチュワートの笑顔を。
全てがはっきりと思い出された。
「ありがとう、大切にする」
その短い言葉に、嘘はなかった。
彼は本当に、わたしの想いを大切にしてくれた……
彼はそれを使用せずに、丁寧に畳んで。
この美しい箱に仕舞っていた。
そして、時々取り出しては、年齢ごとに並べて。
ミルドレッドの刺繍の技術が上がっていくのを、楽しんでいたのだろうか。
13のわたしが刺した図案の簡単なこと。
14の年は前年よりは少しはましになっているけれど、それでも単純な。
15の年には、会いに来てくれた彼を意識するようになって、初めてアダムスの家紋に挑戦した。
16からは図案探しから始まって、下書き、作成と1年かけるようになった。
17は、18は、19では……年々図案と色彩は複雑になり、全体のバランスも考えた。
そして今年の刺繍は四隅だけではなく、全面に施した。
彼と過ごした20歳までの8年間の全てを、鮮やかに思い出す。
受け取って貰った時の情景や。
スチュワートの笑顔を。
全てがはっきりと思い出された。
「ありがとう、大切にする」
その短い言葉に、嘘はなかった。
彼は本当に、わたしの想いを大切にしてくれた……



