すずらんを添えて 幸せを

「蘭、支度できた?」

コンコンと控え室がノックされて、尊が顔を覗かせた。

次の瞬間、驚いたように目を見開く。

「蘭…、すごく綺麗だ」

私は照れてはにかんだ。

「ありがとう。尊もすごく素敵。王子様みたい」

今日は私達の結婚式。
尊はシャンパンベージュのタキシード、私は純白のウエディングドレスで控え室に座っていた。

手にはお姉ちゃんが作ってくれたすずらんのブーケ。
胸元には、私の宝物のすずらんのネックレスが光っている。

「蘭ちゃん、あの人にもドレス姿、見せてあげてくれない?」

おばさんが、おじさんの写真を持って控え室に来てくれた。

「はい、もちろん」

ドレッサーに写真を置いて、私はおじさんに挨拶する。

「おじさん、今日から杵野家でお世話になります。よろしくお願いします」

『うっうっ、蘭ちゃん。なんて美しいんだ。あんなに可愛かった蘭ちゃんが、こんなに綺麗になって、我が家にお嫁に来てくれるなんて…。ううう…、もう感動で涙が止まらない』

「父さん、息子の晴れ姿は見なくていいのか?」

尊がひょこっと私の前に顔を出すと、おじさんは、あー!と声を上げた。

『尊、邪魔だ。蘭ちゃんが見えん』

「は?なんだよ、それ。俺はどうでもいいのかよ?」

『当たり前だ。蘭ちゃんは我が家の可愛い娘だぞ』

「俺だって我が家の大事な息子だろうが?」

言い合う二人に、おばさんがやれやれとため息をつく。

「もう、みっともない親子喧嘩ね。あなた、式の最中は大人しくしててよ。私の耳元でワーワー騒がないでよね」

『そんなの無理だ。感動で号泣しそう』

「もうしてるじゃない」

私は思わず笑い出す。
今日のこの日を、おじさんにも立ち会ってもらえることが何より嬉しかった。