そして、サキは召喚された王都に帰還する。
 彼女の帰還に王都中が沸き、国民が歓声をあげた。

 王城へ案内され、身を清めるとすぐに国王陛下との謁見を行った。

「よくぞ、仇敵ルシファーを倒してまいった!」

 国王陛下から、褒めたたえる言葉を賜った。

 すると、私の頭上から、明るい日の光のようなまばゆい光が降り注いでくる。帰還の光だ。この光によって召喚されたから、自然に、()()だと分かった。

 サキは、光に包まれると、もう目の前にいた国王陛下のことなんかもどうでも良くなった。

 気になるのは、あの、悪魔の言葉だ。

 まただなんて、あるわけないじゃないか。……悪魔に惑わされるな、サキ。彼女は帰還の光を浴びながら、そう自分に言い聞かせる。
 ふと、彼女は先ほど触れた唇の感触が気になって、指で触れた。

 ──初めての口づけを奪われた。

 それだけで印象的で。
 なぜか倒した敵だというのに、彼を忘れられないまま、サキは元の世界に戻るのだった。