「おっ?いいのか〜?」

「何が言いたい?」

「いや、様付けのお前より親密に見えちゃうけど、いいのかな〜?って思ってさ」

 サンストーンの瞳をスッと細め、クライン令息は意地悪そうな雰囲気を放つ。
若干前屈みになって顔を覗き込んでくる彼に対し、兄は思い切り顔を顰めた。

「……却下だ。やっぱり、こいつのことはクライン公爵家の暴れん坊と呼べ」

「いや、それはさすがにどうなんだよ?つーか、長すぎ!リエート卿でいいだろ。俺、もう聖騎士になったし」

 聖騎士?その歳で?確かに体は同年代の子に比べて大きいし、ガッシリしているけど。

 いくらこっちの常識に疎い私でも、異例なことだと分かる大出世に目を剥いた。
『下手したら、史上最年少の聖騎士なのでは?』と考えつつ、兄とクライン令息の言い争いに終止符を打つ。

「では、リエート卿で」

「チッ」

「おいおい、嫉妬か〜?お兄様〜」

 口元に手を当てプププと笑うリエート卿に、兄はピキッと表情を凍らせる。
『お前にお兄様と呼ばれる筋合いはない』とでも言うように頬を引き攣らせ、額に青筋を立てた。