パーティーだから着飾るのは当然と言えば当然だけど、なんだか私のためにオシャレしてくれたみたいで嬉しい。

「今日は一段と格好いいです、お兄様」

「あ、あぁ……まあ、その……リディアも綺麗だぞ。これなら、僕の隣に立っても見劣りしないだろ」

 本日私のエスコート役を務める彼は、赤面しつつも『僕のパートナーに相応しい』と述べた。
既にデビュタントを終え、様々な集まりに参加している兄から『その格好で問題ない』とのお墨付きをもらい、私はホッとする。

 海を連想させる真っ青なドレスも、ハーフアップにした紫髪も、サファイアの髪飾りもリディアに凄く似合っているから、直前で変更するようなことにならなくて良かった。

 ドレッサーの鏡に映る紫髪の美少女を一瞥し、私はもうすぐ始まる誕生日パーティーに思いを馳せた。
デビュタント前のパーティーなので公爵家にしては小規模だが、庶民の私からすればかなりの大舞台。
皆、『子供なんだから多少失敗しても大丈夫』だと口を揃えて言っていたが、きちんと成功させたい。
リディアのおかげで第二の人生を歩めている立場のため、彼女の顔に泥を塗るような真似はしたくなかった。