優しさというより信念に近い思いを胸に抱え、私はふわりと柔らかい笑みを浮かべた。

「それに小公爵の思いや葛藤は何となく、理解出来るので。と言っても、その苦痛を想像することしか出来ませんが。でも、私という存在を受け入れるのが困難なのは分かります。だから、拒絶されてもあまり腹が立たないというか……『あぁ、やっぱりな』と納得してしまうんです。まあ、ちょっとガッカリではありますが」

 『出来れば、仲良くしたかったので』と述べる私に、小公爵は大きく瞳を揺らす。
どことなく、ショックを受けた様子で。

「馬鹿じゃないのか……そんなにお人好しでどうする……」

 どこか譫言のようにそう言い、小公爵はキュッと唇に力を入れた。
かと思えば────月の瞳から、大粒の涙を流す。

「何なんだよ、本当に……こんなに優しかったら、恨めないじゃないか……もっと嫌な奴なら、良かったのに……」

 嗚咽を漏らしながら本音を零し、小公爵は手で顔を覆った。
肩を揺らして号泣する彼を前に、私は慌てふためく。