小公爵の気持ちはリディア()からすれば、理不尽なものだけど……でも、拒絶反応を示してしまうのは仕方ない気がするの。
いきなり家族がバラバラになって、孤独を強いられていた訳だから。
リディア(目に見える原因)を忌み嫌うのは……恨んでしまうのは、ある意味当然と言えた。

 『彼だって、被害者なんだ』ということを再度認識しつつ、私はそっと自身の胸元に手を添える。

「小公爵の嫌という思いを尊重してあげてください。両親であるお二人まで、彼の感情を拒絶してしまったら……行き場がなくなってしまいます。私のことはいいので、小公爵の本心と向き合ってあげてほしいんです」

「「リディア……」」

 複雑な感情を露わにしながら俯き、両親は迷いを見せた。
このまま私の提案を受け入れていいのか、分からないのだろう。
『私達は一体、どうすれば……』と思い悩む二人を他所に、小公爵は

「何で……」

 と、小さく呟いた。
かと思えば、悲痛の面持ちでこちらを見据える。