さりげなく扉の前を陣取り、行く手を阻む彼はニッコリと微笑む。
『考え無しに突っ走るつもりかい?』と問い掛ける彼に、僕達は顔を歪めた。

「が、学園長室の床を壊せば……」

「リディア嬢も下に居るのに?」

「っ……!」

 巻き込まれる可能性を示唆するレーヴェン殿下に、僕は何も言えなかった。
もちろん、リエートも。
ただ俯いて唇を噛み締めることしか出来ない。
『いつから、僕はこんな役立たずになったんだ』と自己嫌悪に陥っていると、レーヴェン殿下が一つ息を吐いた。

「まずはルーシー嬢と合流して、学園長室へ行こう。話はそれからだ」

 『床を破壊するのは最終手段にしたい』と述べるレーヴェン殿下に、僕達は頷く。
そして、校舎裏に居た特待生をとっ捕まえると、学園長室にこっそり侵入した。
許可を取るとなると色々面倒な手続きが必要になる上、相手にバレる可能性もあるため。