お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない

「お待たせしました、ルーシーさん」

 既に待ち構えていた彼女へ声を掛け、私は素早く結界を展開する。
また、先日と同じ要領で姿も隠した。
まあ、もう夕方なので人通りは少ないと思うが。
でも、念には念を入れておかないと。

「お隣失礼しますね」

「うん」

 まだこの距離感に慣れないのか、ルーシーさんはちょっと照れ臭そうだが、嫌がる素振りはない。
なので、私は遠慮なく隣に腰を下ろした。
と同時に、結界に包んでおいたチョコも広げる。
夕食前だと小腹が空くと思って。
『食べ過ぎには注意しないと』と考えつつ、チョコを一粒手に取る。

「それで、お話というのは?」

 もうすぐ日暮れということもあり早速質問を投げ掛けると、ルーシーさんは少し表情を強ばらせた。
かと思えば、真っ直ぐにこちらを見据える。