『人の足元を見るとは、まさにこの事か』と痛感しつつ、私はガクリと肩を落とした。
だって、両親の説得はきっと私一人じゃ無理だから。

「お兄様、意地悪です……」

「妹の参戦を許すんだから、これくらい許せ。あと────」

 そこで一度言葉を切ると、兄は私の背後に視線を向けた。

「────魔王の討伐に参加しようと思っているのは、多分僕だけじゃないぞ?」

「えっ?」

 訳が分からずポカンとする私は、一先ず後ろを振り返る。
すると、そこには────ルーシーさんやリエート卿、レーヴェン殿下の姿が。
壁のちょっとした出っ張りに身を隠し、こちらの様子を窺っていた三人は苦笑した。
そして、『やっぱり、バレていたか』とでも言うように肩を竦め、ゾロゾロと出てくる。