「すみません……今、魔法を使ったら相手を殺してしまいそうだったもので……」

「そんなことは気にしなくていい!」

「そうだ!後始末は任せろ!」

「悪党の命まで気にするなんて、お人好しにも程があるよ……!」

 ニクス、リエート、レーヴェンの三人は『悪党に手加減する必要なんてない!』と主張した。
悪党の命<リディアの怪我という価値観を前面に出す彼らに、彼女はおずおずと首を縦に振る。
全面的に納得は出来ないものの、ここまで優先順位がハッキリしていては何も言えないのだろう。
そんな彼女の心情を察してか、ニクスはスッと目を細める。

「大体、リディアは……」

「あ、あの……!」

 長い長いお説教タイムへ入りそうなニクスを遮り、私は片手を挙げた。
すると、全員から注目を浴びる。
正直ちょっと気まずかったが、私はどうしても言わなければいけないことがあった。

「そ、外に依頼者の男性が居る筈なので出来れば捕らえてほしいんですけど……」

 助けてもらった手前、言いづらかったものの……何とか一番重要な情報を伝える。
その途端、ニクス達がピシッと固まった。