首裏にクリーンヒットしたからか、男性はバタンッと倒れる。
『あっ、これ完全に気を失っているやつだ』と考える中、リディアはそっと目を閉じた。

「すぅー……はぁ……」

 気持ちを落ち着かせようとしているのか深呼吸を繰り返し、リディアはおもむろに目を開ける。
と同時に、重苦しい雰囲気が霧散した。
そのおかげか、呆気に取られていたニクス達はハッと正気を取り戻す。

「おい、リディア!どうして魔法を使わなかった!?」

「そうだよ!怪我でもしたら、どうするんだい!?」

「俺の指導で結構鍛えたとはいえ、危ねぇーだろ!」

 ニクス、レーヴェン、リエートの順番でリディアを叱りつけ、注意した。
すると、彼女はシュンと肩を落とす。