◇◆◇◆

「貴方、本気で悪役になる気ある!?」

 放課後、私を校舎裏に呼び出すなりルーシーさんはヒステリックに喚き散らした。
メラメラと目には見えない炎を燃やし、こちらへ詰め寄ってくる。
怒り狂っているのは言うまでもないが、私としては疑問しかなかった。

「えっ?ちゃんと悪役になりきっていた筈ですけど……」

「いいえ、全く!これっぽっちも!」

 間髪容れずに否定の言葉を吐き、ルーシーさんは人差し指で私の胸元を叩いた。
『ふざけているのか!』と言わんばかりの態度に、私は目を白黒させる。

「う、嘘……」

「嘘じゃない!その証拠に、みんな私に親切だったでしょ!本来であれば、リディアの策略で私は孤立する筈だったのに!」

 苛立たしげに前髪を掻き上げ、ルーシーさんは『何もかもゲームと違う!』と嘆いた。
かと思えば、悔しそうに地団駄を踏む。