嫌な予感を覚えつつ、下を向くと────地面の凍結に巻き込まれて、固まる自分の足があった。
小公爵の動向に気を取られるあまり、今の今まで気づかなかった私は急いで靴を脱ごうとする。
────が、脱げなかった。
どうやら、足首までガッチリ固定されているらしい。

 あら、これは……詰んだわね、完璧に。

 靴を脱ぐことが出来ればまだ希望はあったが、完全に身動きを封じられた状態ではどうすることも出来ない。
『最初の冷気が放たれた時点で逃げるべきだった』と反省しながら、私は即座に思考を切り替えた。

 せめて急所は守ろうと両腕で顔面を守る中────不意に体を抱き締められる。
ビックリして顔を上げると、そこには金髪の美女の姿が。

 だ、誰……?いや、それよりも私の傍に居たら危ないわ……!

「は、離れてください……!このままでは、巻き添えを食らって……」

「────嫌よ!貴方も(・・・)私の大事な子供だもの!」

 そう言って、彼女は更に強く私のことを抱き締めた。
『絶対に離さない!』という意志を見せる金髪の美女は、月の瞳に覚悟を宿す。
震える体に鞭を打って身構える彼女の前で、私はハッとした。