お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない

 すっかり、雪景色ね。まだ秋になったばかりなのに。

 などと考えながら、私はひたすら魔力譲渡を行う。
気分はバレー部の顧問に、次々とボールを渡すマネージャーである。
ほら、練習で顧問の先生がよく選手に向かって取りづらい球を打っているでしょう?あれの補助。
────と、何かのドラマで見たシチュエーションを思い返す中、グレンジャー公爵家から援軍が来た。
積もりに積もった雪と魔物の氷像を掻き分けながら。

「おい、これは……いや、もういい。とにかく、怪我人を連れていきなさい。治療するから」

 結界越しにこちらを見つめる父は、早く出てくるよう促す。
それに従い、リエート卿は風を散り散りにした。
『よろしくお願いします』と父に頭を下げ、彼は討伐隊の対応を任せる。

 ────その後、討伐隊はクライン公爵家へ帰され、休養を取ることになった。
たとえ、傷が癒えても疲労困憊状態であることに変わりはないから。
まあ、クライン公爵夫妻は最後まで残ると言って聞かなかったが。
でも、息子のリエート卿に『頼むから休んでくれ』と懇願され、結局折れてくれた。