『もう大丈夫です!』と叫び、リエート卿は胸を張った。
と同時に、強風を巻き起こし討伐隊を包み込む。
台風や竜巻と似た要領で風を動かし、ちょっとした結界を張った。
おかげで、魔物達は無闇に私達へ近づけなくなる。
だって、下手に突っ込んだら体をバラバラにされてしまうから。

 風って、こういうことも出来るのね。

 『凄いわ』と素直に感心する私は、リエート卿に頼まれて魔力譲渡を行う。
『この結界を維持するのに、かなり魔力が要るのね』と予想しつつ、あっという間に作業を終えた。
その瞬間、リエート卿が『うわっ……!?なんだ、この量!』と目を剥く。
やはり数字で見るのと、実際に体感するのでは違うようで、かなり驚いていた。
────と、ここで兄がクライン公爵夫妻に向き直る。

「要請を受け、先発隊として来ました。ニクス・ネージュ・グレンジャーです。こちらは妹のリディア・ルース・グレンジャー」

 先程と同じ要領で挨拶する兄は、軽くお辞儀して魔物達に目を向けた。