「お兄様、私は全員で助かりたいのです。もし、その一助となるのなら私の魔力を思う存分使ってください。お願いします」

 『これは私自身も望んでいることだ』と主張し、兄の決定を覆そうと躍起になる。
魔力切れの事態を回避出来れば、彼の生存率も大幅に上がるから。
何としてでも、同行を許可してもらわなければいけなかった。

 魔物と対峙するのは怖いけど、でも────大切な家族を失う方がずっと嫌。
それに屋敷や街を守るため、今も必死に戦っている討伐隊の人達を一人でも多く助けたかった。
まあ、私が加わったからといって討伐隊と早く合流出来る訳ではないのだけど。
でも、お兄様が私の魔力を使って多くの魔物を倒せば、たとえ合流出来ずとも討伐隊の助けになるかもしれない。

 『自分でも誰かの役に立てるなら』と奮起し、私は月の瞳を見つめ返す。
己の覚悟を表すかのように、決して逸らさずに。