言の葉は

まだ数回しか会話をしていないのに、それなのに僕の心は詞葉の姿や仕草や声を思い浮かべ、足は心に突き動かされたみたいに、あの神社へと足取りを強くして向かった。


瞳の奥底で詞葉の姿がまるでこの寒さをしのぐ象徴の灯火みたいに明るい温もりを僕に与えてくれる。


でも、その感覚はなぜ起きるのか僕にはわからないでいた。



神社までの道中がもどかしく感じる。僅か数分足たらずの道のりに何を僕は焦っているのだろう。


神明神社の鳥居が見えてくると僕の足はイキイキとして少し弾むみたいに足取りを早くさせた。


鳥居の向こうに視線を向けると、半ばガッカリしたように鳥居に手をついて、その実態を見つめた。



詞葉はいなかった。それは当然と言えば当然だ。


あれから時間が経過している。


僕の都合で詞葉がいるわけがないのだ。


そんなに現実とは上手くいかないことを僕はよく知っているのにも関わらず、詞葉はいると勝手に思い込んだ。


なんだか、そんな自分が恥ずかしくもある。


鳥居の先の神社で年配の男性がこの寒い中にも関わらず手を合わせて祈っている。