僕は起き上がろうと身を上げようとした。
少女はそんな僕の行動に慌あわてて、「まだ、動いたらだめ」と言い、僕の行動を小さな手で僕の肩に手を置いて止める。
僕はそこで改あらためて少女を見た。
ツインテールの黒髪で二重瞼ふたえまぶたのつり目で、その瞳は深い茶色をしていて、陽射しを浴びると瞳が赤茶色に輝く。小鼻こばなと薄い桃色の唇くちびるはとても整ととのってて、顔の全体図がなぜかウサギを連想れんそうさせる。つまり、可愛かったのだ。

それに少女のまるで甘あまい清楚せいそな声音はプロの声優にも引けを取らない。僕の耳の鼓膜こまくに心地好ここちよく響ひびく澄んだ声だ。
少女は石段に座る僕の隣に座ると、「私もよくその発作になるんだ。だからわかるよ。そんな時には無理に身体を動かしちゃだめ」と僕の横顔を見る。
僕は確たしかに隣となりにいる少女のおかげで発作は良くなった。しかし、困ったことがある。
それは今だかつて同世代どうせだいの女子とこんなに近づいたのは初めてで、また心臓が高鳴たかなる。緊張しているのだ。
少女は僕のブレザーの紺色を見て、「私と同じ学校なんだね」とうんうんと頷うなずく。

