「……」
「……」
お昼休み。私はひとけの無い、本日2回目となる非常階段の端っこに座っていた。
一応、膝にはフタを外したお弁当箱を、包みの布と共に広げている。
でも、私はちっとも箸が進まなかった。
この非常階段の外は、裏庭につながっていて、見晴らしもいいし風も心地いいーー……、んだけど。
い、一体何を離せばいいんだろうっ……。
後ろをチラリとみればーー。
閉めた扉にもたれかかり、右手にはスマホ、左手にはパンを持った円城くんがそこにいた。
亜萌ちゃんが無理やり、『2人きりでいってらっしゃい!』と、こういう状況になってしまったのだ。
かれこれ、20分程、お互い黙り込んだまま。
「おい」
「!!?」
私は大きく、肩を跳ねさせる。
「……会話は愚か、近づくことさえもできないなんて、よっぽど勇気がないんだな」
パンをかじりながら、ため息交じりに言った円城くんの言葉がグサッと突き刺さる。
「……へ? あ……ご、ごめんなさい……」

