翌日。パーティーは午後からだったが、『準備がある』と副社長は言って私が暮らすマンションまで朝から迎えにきてくる予定だ。
 その為に個人的にはじめてプライベートな連絡先を副社長や加賀さんと交換し、住んでいるマンションの住所を伝えた。
 ひょんな事になったけれど、私はあの惨めでどうしようもない、誰にもすべてをさらけ出せなかった気持ちを誰かと……副社長や加賀さんと共有出来たのが嬉しかった。
 プライドが高い訳ではない。けれど、私だって持っているなけなしのそれが、また恥をかくのを本当に嫌がっていた。
 地味だから、平凡だから。自分には無い輝きを持つ綺麗な女の子に彼氏がかっ拐われたのだと、思われたくない。自分が一番痛いほどわかっているからだ。