一章
 
 修羅場、というものがある。
 戦乱や闘争、悲惨をきわめた場所をそういう。
 私がまだ彼に気持ちを残していて、その場で恨みつらみなど吐き出せば、途端にその修羅場ができあがる。
 けれど、あの二人はわかっているのだ。
 空気を読み過ぎる大人しい私に、パーティーをぶち壊し修羅場にするそんな勇気はないのだと。