「ところで、田中さん、お名前は?」 ふたたび、隣りに座った田中にめぐるは訊いてみた。 「……田中一郎だ」 「偽名ですか?」 「本名だ。 全国の田中一郎さんに謝れ」 「それか、免許証とかの見本?」 「あれ、日本太郎とか、日本花子とかじゃね?」 と田中の隣から清水が言う。 ――酒の席とはいえ、ちょっと失礼なことを言ってしまったかな。 あと、人にだけ名乗らせるのもよくないな、と思っためぐるは自分も名乗ってみた。 「天花(てんか)めぐるです」 ぺこりと頭を下げる。