「急に第三局のお菓子、頼まれたんですよ。
パティシエの方がよそに引き抜かれたとかで」
その日。
めぐるは食堂のカウンターでいろいろアイディアを書いたメモ帳を見ながら唸っていた。
「……対局があるホテルはどこも呪われているのか」
とみんなと夕食をとっていた田中が呟く。
「どれにしようかな。
最近、3日にいっぺんくらいしかいいのができなくて」
遅い時間だったので、客が少なく。
カウンターで勉強していた雄嵩が、だからそれ、どんなスランプだよ、という顔をしていた。
「それ、アイディアメモですよね。
めぐる先生のなら、どれでも良さそうだから、ぱっと開いたページのにしたらどうですか?」
まだジュウジュウ音がしている熱々の焼きサバ定食を食べながら、若林がそんなことを言う。



