その日、めぐると田中はあの川沿いの長屋を見に行っていた。 取り壊され、瓦礫が撤去されている最中なのだ。 ――田中さんに初めて出会った同窓会。 帰りに家まで送ってもらったっけな、とめぐるは珍しく感傷的になって、向かいの歩道から、工事の様子を眺めていた。 一緒に見ている田中はここのところ、浮かない顔をしている。 「あの、田中さん」 とめぐるは呼びかけた。 訊くのなら、周りに誰もいない今だと思ったからだ。 「心配ごとがあるのなら言ってください。 私ではお力になれないかもしれませんが」