同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました

「お前、対局見たんじゃないのか」
と小声で田中に言われ、

「お着物でしたので」
と言うと、

「……お前、まさか、俺のことも着替えたらわからなくなるとか?」
と田中は怯える。

 いえいえ。
 あなたの服はすでに何パターンも見ているではないですか。

 と言いたいところのことは、それじゃない、と田中に言われそうなことをめぐるは思っていた。

「竜王戦。
 田中のための菓子を作るらしいが」

 そう黒木田に言われ、

「ああ、別に田中さんのためだけというわけでも――」
とうっかり言って、田中に、なにっ? と振り向かれる。

 いや、なんだかんだでプロなので。

 田中さんだけではなく、対戦相手の方のためにも。

 しばらくそのメニューをホテルで出すと言われたので、お客様たちのためにもいろいろ考えて作るつもりだ。