「知ってるわよ。 田中さんの番号くらい~」 なぜ、田中さんの携帯の番号は知っていて、娘のは知らないのかと問いただすと、母はそう言う。 「だって田中さん、いつも師匠に頼まれて、うちの和菓子、携帯から注文してはとりに来てるもの」 ……竜王、使いっ走りか、と思ったが、 「田中さん、歩くの好きなんだって」 と言う。 そういえば、なんかいつも考えながら散歩してるみたいだからな。 私は最近、家から川を見下ろしていると、いろいろ思い浮かぶんだが――。