『嫌だと思ったんだ。
俺じゃなくて、他の奴がお前の菓子で勝つのは――』
ここ数日、めぐるは、ずっとそんな田中の言葉を思い出しながら過ごしていた。
お客さんのいない昼過ぎ。
食堂のカウンターに座り、ぼんやりテレビを眺めていると、ビーフカレーとよく冷えたアイスコーヒーが映っていた。
鉄板な組み合わせだな、美味しそう、とめぐるは眺める。
かなり黒い色のカレーは昔よく行っていた蔦の絡まる喫茶店を思い出させる。
あれ、おいしかったよな~と思ったとき、百合香が厨房から声をかけてきた。
「ところで、あんた、いつまで日本にいるんだい」
「え?
いや、まだスランプだし。
また戻って、一からはじめるって言っても……」



