「田中じゃないか」
「黒木田……」
こいつは、おしゃれランキングとやらにも入ってそうだな、と高そうな黒いストライプのシャツを着た黒木田を見る。
他にも将棋会館から流れて来たらしい人たちが来ていて、おっ、竜王と挑戦者が遭遇したぞ、と緊張して見ていたが、田中は違うことで緊張していた。
めぐるを賭けて黒木田と勝負する妄想がまだ残っていたからだ。
「一緒にどうだ」
「ああ」
と二人は同じテーブルに腰を下ろす。
二人仲良くひとつのメニューを眺めていると、黒木田が言った。
「そういえば、俺は知らない間に、お前と天花めぐるとかいう天才パティシエを賭けて勝負することになっているようだが」
「誰から訊いた?」
「久門」
……まあ、そうだろうな。



