田中はめぐるを送ったあと、夜道を帰りながら思っていた。
さっきの言い方、ちょっと違ったかな、と。
めぐるの運命がかかっていると思ったら、緊張してスランプになるから嫌だ、というのは、今の自分の心情を表す言葉としては、ちょっと違う。
めぐるを賭けられると嫌なのは、ただ、純粋に、負けたら嫌だから。
めぐるがかかっているのに、負けたら嫌だから。
久門の冗談だとしても、なんだか嫌だから。
冗談。
……冗談だよな、たぶん。
そもそも、この話、俺もめぐるも受けてはいないし――。
だが、田中の中で、自分が負けたら、めぐるが久門と結婚したり、黒木田と結婚したりしていた。



