「でもさあ、よく考えたら、最近、久門の方があちこちで負けてないか?」
スランプなの、あいつの方じゃない?
と久門が帰ったあと、健が言う。
「スランプの基準も人それぞれですもんね」
とめぐるが言うと、なぜかカウンターの向こうから、百合香がじっとこちらを見ていた。
「なんだかんだで、この間、田中、久門に勝ったしな。
お前的になにがスランプなの?」
「あいつごときに手こずるのが嫌なんだ」
ごときとか言ってる……。
よほど苦手なんだな、久門さん、とめぐるが苦笑いしたとき、しんみり健が言った。
「まあ、そんな久門でも俺よりは強いわけだけど」
「そんなことはない。
お前が途中で諦めただけだ。
昔は久門より強かったじゃないか」
昔っていつの話だよ、と健は眉をひそめる。



