「なんだ。 あの天才パティシエの子かー、今の。 いつから付き合ってるの?」 タクシーの中で、久門にそう問われた田中は、 いつからも付き合っていない、と思ったが、なにも言わなかった。 特に否定したくなかったからだろうか。 いやいや。 いやいや……。 久門はゴソゴソ、カバンから詰将棋の雑誌を出してくる。 「バスに乗ってどこかへ行こうとしてたわけじゃないんだよ。 天気のいい日。 バスに乗って、これを解くのが好きなだけ」