次の日の昼前。 田中はすぐ近くの食堂に向かい歩いていた。 みんなで出前を頼むことになったのだが。 電話しても、その食堂の人が出てくれないのだ。 「忙しいと出てくれないらしいよ。 店は開いてるはずだから、配達してもらえないか、訊いてきてー」 と頼まれたのだ。 ……電話に出られないほど忙しい店が配達してくれるだろうか、と思いながら、長閑な住宅街を歩く。 小さなビルなんかもところどころにあるが、どれも、ちょっと古びていて、落ち着く雰囲気だ。