迷路の先には君がいた


「芙蓉。お前は責任感が強い。自分で父親の負債分を貝原家に返したと思わない限り、そこから抜けられないとわかっていた。どうだ?もういいだろ。迎えに来たぞ」

「鷹也……」

 鷹也は立ち上がると、芙蓉の前に行って手を取って立たせた。そして、今度は繁に向かって、深々と丁寧にお辞儀をした。

「繁。四年前芙蓉を助けてくれてありがとう。これからは別なやり方で彼女の横を競おう。芙蓉に家の借金をカタに婚姻を迫るなんてお前らしくない。正々堂々とこれからが勝負だ」

 繁はあの頃の様にハイタッチを求める鷹也のあげた手を見た。そしてその手を昔の様に軽くはたいた。

 それを見た芙蓉は嬉しそうに涙目になった。