「ふざけるな。倒産目前のグループのサムエルとスワンを比べても月とすっぽん、話にならない」 細井さんが口を開いた。 「それなら、今までのお礼にうちの二支店をそちらに差し上げます。海外一店舗、国内一店舗。しかもどちらも営業成績がいいパリと大阪です」 芙蓉は驚いて席を立った。 「圭吾さん、私に内緒でそんなこと許さないわ!」 圭吾は芙蓉を見て言った。 「そちらに嫁入りを覚悟されているお嬢様に嫁入り道具の代わりです」 「……圭吾さん」