迷路の先には君がいた


 自分だけがとりあえずニューレジェンドホテルグループへ嫁に行けばいいことだ。

 オーナーも細井に移譲し、時間をかけてでも借金を返済し、刺し違えてでもスワンを残すと決めていた。

「さて、スワンホテルのオーナーはどうお考えですか?」

 鷹也が芙蓉を見て言った。

「スワンの負債をあの時点で肩代わりしてくださった貝原オーナーには恩があります。この四年、ここで働きながら少しづつ恩をお返ししてきたつもりです。いずれ私は結婚をしますが、スワンとの合併だけは諦めて頂くつもりです」

「芙蓉、何を言っているんだ!」

 繁が横を向いて彼女を見た。芙蓉は貝原オーナーに向き直り、はっきりと言った。