迷路の先には君がいた


「いずれスワンの芙蓉さんと息子さんを婚姻させるときにスワンを吸収するおつもりだと聞いていた。そのことに対して私は何も言える立場ではなかった。だが、書面に起こして契約はしていない。スワンの負債がこれ以上増えるようなら手放すためだと聞いていました」

「三枝さん!それは内密にと……」

 貝原オーナーは息子の顔を見て色をなした。

「父さん、どういうことだ?もしかして、様子を見て芙蓉を手放してスワンを捨てる用意もしていたということか?!」

 貝原オーナーはため息をついた。

「まあ、落ち着け。色々考えて事前にそういう契約を結ばなかったのだ」

 芙蓉は書面にその一文がないのは知っていた。だからこそ、合併は絶対させないと決めていたのだ。