「なるほどね。それで支配人もオーナーと同席して、その対応をするってわけですか?」
「万が一、支配人が会議中でそれ以外のお客様に問題が起きたら、あなたに対応をお願いしたいと支配人から承っていますよ。我がホテルでヘッドをしのぐ人気コンシェルジュになりつつある、スワンホテルオーナー諏訪内芙蓉さん。今はどうしてうちで働いているのかをお忘れなく」
副支配人は偉そうに身体を張り、眼鏡のふちを触る。
芙蓉は下を向いて答えた。
「申し訳ございません。今日は昼前に細井さんをご指名になる速水様がわざわざ当ホテルまでお見えになる予定です。コンシェルジュは細井さんに代わります。私が客室担当に入ります」
「何を言ってるんです?彼女は先月からコンシェルジュではなく客室担当です」



