カーテンを開けた先にはなぜかもう一台の長椅子があり、寝っ転がっている男がいた。

 こちらに光る眼を向けた。そして身体を起き上がらせた。

「久しぶりだな、芙蓉。ここにいたとはな。先ほど、繁が大騒ぎで探していたぞ」

 芙蓉は鷹也の自分を見るまっすぐな眼を受け止めた。

 一重の涼やかな目元。そして整った鼻筋、美貌は相変わらずだ。

 だが、昔のような無邪気な瞳ではない。その瞳はなぜか深い憂いを見せている。

 鷹也のそんな瞳に映る四年ぶりの芙蓉の顔は、昔と比べどれほど容色が落ちたことだろうとつらかった。