「怪しい者じゃなくて、俺はこういう者です」
それは「ただのカード」じゃなくて――名刺。
その名刺には、
聖山ホールディングス
代表取締役
CEO
聖山 蓮心
Hasumi Hijiriyama
と書かれていた。
「しーいーおー?」
って、なんだっけ?
ドラマとかでよく聞くけど……なんの職業?
「? おーい」
「あ、すみません。それで、えっと」
なぜ私は高級車に乗っている「しーいーおー」に呼び止められているのか――
という顔をすると、男の人はフッと笑った。
「入学直後に風邪を引くと災難でしょ? だから、コレを使って」
「傘?」
「ちょっと渋いし、重いかもしれないけど」
そう言って、窓から出されたのは――
これまた高級そうな傘。
「はい」と軽く渡された割には、私の両手にズッスリと重みが加わる。
う……、すごい重量感。



