視える私の見える好き



「短気は治らないね。」
「守ってやらなきゃと思うと我慢出来ねーんだよ。」

私が身に付けているパープルのベールをふわりとあげ、私の唇にチュッと一瞬だけキスをする。

「……仕事中なんだけど。」
「だから我慢出来ねーんだよ。」

そう話す悠紀くんが、私の顔を愛しそうに見つめる。

口調や態度は何一つ変わらない。
そして、私達の胸元浮かび上がっている運命の証も。

いつも、どんな時も、私達は優しく光る運命の文字で繋がっている。



「悠紀くん……大好きだよ。」
「……仕事中だろ?」

自分のことは棚にあげ、照れているのかプイッと目線を外して裏の部屋に戻っていく悠紀くん。
だけど私は見逃さない。
前髪が短いから耳まで真っ赤になる悠紀くんの顔を。


「ヤッホー小春ちゃん!旦那から差し入れー!」

悠紀くんのお母さんが、赤ちゃんを抱っこしながらパープルに顔を出してくれる。

有志(ゆうし)くん、今日はぐっすり眠ってますね。」
「十何年ぶりの子育てに死にそうだよ。ま、楽しいけどね。」
「有志くん、マスターさんに似てきましたね。」
「私に似たらイケメンになるのによりによって旦那似だよ。ざーんねん。」


スヤスヤと悠紀くんのお母さんの胸の中で眠る、悠紀くんの弟の寝顔を見て心から癒される感覚。
こんなに小さくて、ふわふわとしたお肌の有志くんの胸元にも光る文字が浮かんで見える。


それは小さくて、そしてほとんど奇跡と言っても良い運命の文字。


「素敵な出会いがあると良いね。」

寝ている有志くんの頬をツンツンとして、寝ながら笑うその反応に幸せな気持ちになる。
そして今日もまた、パープルに訪れる人達の運命の証の文字を見ていく。