視える私の見える好き


「皆、このままY地区で幸せになれると良いですね。」

「俺はお前がいたら何処だっていいよ。」


悠紀くんが、沢山の人がいるにも関わらず、私の手を優しく握ってくれる。


「本当に……良いんですか?私なんかで恥ずかしくないですか?」
「……ウザ。まだそれ言う?俺はお前が良いんだからグチグチ言うな。」


最初に会った時から言われていた悠紀くんのストレートな言葉。
でも、こんな嬉しい言葉ってないよ。


『駄目ですよ、こういうのは好きな人とするものです。』

前にジョーダンで手を握られた時は、自分が真に受けないように悠紀くんに言った言葉。自分で言ったのに切なくて胸が痛かった。
だけど今は……。


「私は絶対悠紀くんを裏切りません。ずっと……これからも。安心して下さい。」

繋いでくれる手を、今度は強く握り返すことが出来た。

悠紀くんの手の温度が、心の底から愛しいと感じられる。


大好きだよ、悠紀くん。
運命の相手が君で嬉しい。


運命の相手が私で嬉しい。



「でも悠紀くんと上手くいかなかったら俺がいるからな?」

ゆうまが性懲りもなくまたしても私に声をかけ、悠紀くんがゆうまに無言でコンクリートに投げ飛ばす。

「悠紀くん……。流石にゆうま、死んじゃうよ?」
「一回死んだらわかるんじゃね?小春は俺んだけのものって。」







それから何年か経ち、少し無法地帯だったY地区のちゃんとした環境開発が、前田さんのお祖父さんの手によって進み始める。

Y地区限定で破格の値段で住める住居や、スーパーや娯楽施設の建物を増やし、自然を残しつつ皆が仕事につけるようにと、沢山案を出してくれた。

行政もキチンと関与するようになり、X街では三本の指に入る前田グループの大きな会社のお蔭で、Y地区は住民皆が安心して暮らせる地区に変化していく。


──そして私は。