「小春は俺の女なんだよ。舐めた口聞くならゆうまの骨、全部粉々にしてやろうか。」
「ギブギブギブ!!」
私の足元で悠紀くんとゆうまがじゃれ合っていると、眼鏡ちゃーん!と遠くで声が聞こえる。
その声に全員で振り向くと、さっき話した悠紀くんのお母さんが沢山の人を連れて歩いてきた。
「は!?母さん何してんの!?」
「えー?だってこのY地区無くなるかもって皆に言ったら、じゃあ反対デモでも起こす?ってなって、人沢山連れてきた。」
「もう解決したんだよ!」
百人近く歩いてきた住民を見て、悠紀くんがため息をつく。
フフッと思わず笑いが込み上げてしまい、顔が似ている悠紀くんの親子姿に微笑ましく見ていると、あることに気付く。
「あ……悠紀くんのお母さんの文字、マスターさんと同じ。」
心の中で言ったつもりが、思わず口に出してしまったらしい。見たことあるなと思っていたが、これでようやくスッキリした。
そして、その言葉を聞き逃さなかった悠紀くんのお母さんが、私に物凄い勢いで確認してくる。
「眼鏡ちゃん!それ本当に!?嘘じゃないよね!?」
「は、はい。」
ことのやり取りを見ていたマスターさんは、慌てて自分のお店に逃げようとした所で悠紀くんのお母さんが、急いでマスターさんの腰に手を回して逃げないようにする。
「コラおっさん!諦めろ!いい加減私を嫁にしろっ!」
「お前…歳考えろよ。いくつ離れてると思ってんだよ。」
「知るかっ!」
悠紀くんと似たような口調で、照れて逃げようとしているマスターさんを掴んで離さない。
「これ、昔からなんですよ。」
「渚の片思いかと思ってたけど、なーんだ。マスターも結局好きなんじゃん。」
双子達が昔からの光景なのか、ニヤニヤしながら教えてくれる。


