視える私の見える好き


悠紀くんのお母さんが立ち上がり、「教えてくれてありがとう。」と、大きな谷間の中で私を抱き締めてくれた。

柔らかい感触が頬にあたり、同性なのに恥ずかしくてなんだか照れてしまう。

──ただ、
悠紀くんのお母さんの、大きな谷間に浮かび上がっている運命の証の文字が、何処かで見たことがある気がした。

でも、思い出せない。

だけど何となく引っ掛かってしまい、別れを告げる悠紀くんのお母さんの運命の文字を、頭の隅に置いておくことにした。


……あ!
とりあえず、また歩かなきゃ。

そして、伝えなきゃ!皆に。


一先ずマスターさんのお店に向かおうと、またY地区の道を歩き出す。
そして、マスターさんのお店の近くまで歩いていると、怒鳴り合いをしている複数の男の声が聞こえ、自分の姿がバレないように隠れながらゆっくりと近づいてみる。


「この生まれつきゴミが!ゴミでクズだから捨てられるんだよ!」
「うるせぇコラ!てめぇに関係ねーだろが!ブチ殺すぞ!」
「おぅおぅ、流石ゴミの言葉。立派な教育を受けてらっしゃるわ。」


電信柱の物陰に隠れながら、やり取りを見ていたら見たことがある金髪の男の子。

……ゆうまっ
てことは、Y月グループと何処かのグループなのだろうか。

がチャーン!!

向こうのグループの一人に殴られて身体を飛ばされたゆうまが、自販機にぶつかって激しい物音を立てる。

「弱ぇくせにイキがるからよ。んでまた、悠紀く~んて泣いて頼むんだろ?ダサっ。」
「んだとコラ!!」

あちこち血を流しながら、それでも相手に挑むゆうまが、服を掴まれて今度はコンクリートの地面に転がってしまう。