視える私の見える好き


「なに?」
「あ、いえ……。」
「言いかけて止めるの辞めて。気になるじゃん。」

悠紀くんと同じ顔で少し不機嫌そうな顔。見れば見るほど本当に血縁者なんだと実感する。

「……その話。渚さんはどう思っていますか?その……Y地区は、まちづくりによって居住環境が良くなると思いますか?」

思っていた言葉じゃ無かったのか、渚さんは困った顔をして髪の毛をかきあげる。

「ここの地区、ならず者が多いの知ってる?」
「………。」
「まぁ知ってるよね。てか、Y地区なんて好き勝手噂が尾びれせびれつけて回ってるけど、全然普通の町だよ。まぁ、夜のお店が多いのは否定しないけど。住民なんて大半はX街やら地方の人が居場所を求めて流れて来るだけ。」
「……はい。」
「悪い事をする時に勝手にY地区使ったり名前出したりして、Y地区出身なんて言ったら馬鹿にされたり、険悪感抱かれるのが当たり前になってさ。」


こっちおいでと手招きをされて、閉まっているお店の前のベンチに誘導される。


「息子がいるY月グループってさ、たまたま悠紀の周りにYが付く名前が多いから私が名付けてあげたのよ。気付いたら、血の気が多い仲間増えたり頼ってくるガキんちょ達が多くなってきてさ。」
「………。」
「あのバカ息子、Y月グループや母親の私がもっと堂々と生きられる様に、あのバカ女の話しを信じて協力してんのよ。バカがバカの話し信じてどうすんのよってね。」


タバコ良い?と、ベンチに座りながら携帯灰皿を出して煙を吐く渚さん。
女の人なのにタバコを吸う仕草が様になっている。

「んで?眼鏡ちゃんは何知ってるの?」

悠紀くんと同じく私の事を【眼鏡ちゃん】と呼ぶ事に違和感は全く無い。