視える私の見える好き


「アンタ大丈夫?変な事されてない?」

心配そうに私に駆け寄る女の人は、女の私でもドキッとする大きな胸の谷間が白いTシャツから見えていた。

「大丈夫です。ありがとうございます。」
「そ!良かった。変な男に声をかけられたら迷わず金蹴りよ?思いっきりね!」

アハハっと髪の毛をかきあげた渚さんの顔を見て「え?」と、思わず声を出してしまう。

「どうしたの?」
「似てる……人が知り合いに。」

……似てる。何処が?と言われたら、目や鼻筋。輪郭。
何より雰囲気。

「まさか悠紀のこと?」
「あ……。」

ニコっと私に微笑んでくれる渚さんを見て確信する。

「もしかして……お姉さん、ですか?」

渚さんは、私の発言にビックリしたと同時に嬉しそうな表情で返事をする。


「アハハッ!そうだよ!……と、言いたいけどちょっと違うかな。悠紀の母親の渚です。宜しくね。」



母親!?!?
てことはお母さん!?
そんな!まさか!?こんなに若くて綺麗な人が!?

頭の中が追い付かず、困惑してしまう。お母さんというよりお姉さんにしか見えない。


「ビックリ……です。あの、悠紀くんは、元気でしょうか?」

聞いていいのか分からないが、つい思っていた心の言葉を口に出してしまう。

「あのバカ?何か知らないけど荒れてる。バカな女といるから更にバカになってるわ。」
「………。」

きっと美那の事だろう。
マスターさんが言っていた通り、変わらず美那と一緒にいるんだろう。
胸の奥がズキッと痛む。

「あのバカ女、このY地区を住みやすい居場所にする【まちづくり】の責任者って言ってたの。そんな上手い話あるかよってバカ息子に言ってるのに、全然聞く耳持たなくてね。」

「……っっ!その話!」