視える私の見える好き


スマホの時刻を見たら閉店の時間が迫っていた。

この占いの館【パープル】は16時から18時までのたったの二時間。土日は12時から18時までしているが、それでもこの短時間営業のせいで予約をしても平気で半年は待たせてしまう。

それは仕方のないこと。

だって私


「心春お嬢ご帰宅ですか?」
「送ってやるぞ?変な男いたらぶっ飛ばしてやるから。」
「大丈夫ですよ。私みたいな地味な女に声をかける物好きは居ませんから。」


背中まである長い髪の毛を一つに束ね、仕事用に付けていたワンデーのコンタクトを外して眼鏡をかける。
グレーのパーカーを着て、そこら辺に売っている黒色のリュックを背負い、さっきまでの謎な占い師から一変、いつもの本来の姿に戻る。


「でわまた、明日も宜しくお願いします。」
「「心春お嬢も勉強頑張って下さい。」」


深々と二人が頭を下げてくれるが、私は頭を下げられる程立派な存在ではない。

外に出ていつものように群衆に紛れると、ホラね。

何の色味も特別なオーラも出せない地味なただの女子高生。ナンパをされたことも、なんなら道すら聞かれたこともない。
歩道や壁と同化して、空気と一体感。特技と言われたらそうなのかもしれない。

私は此処にいるのに皆には見えない存在の薄さ。

通りすぎの際に肩がぶつかっても謝られたこともないし、謝っても振り向かれたこともない。

そんな前から後ろから歩く、沢山の人達の光る証を横目に見ながら家路を歩く。